竹宮惠子

時はS・D(スペリオル・ドミネーション)の時代。 地球の壊滅的な危機に瀕し、人類が選んだのは、徹底的に管理された社会の実現であった。 S・D社会においては、学業も、職業も、結婚も、生き方も、妊娠・出産までもが「マザー」と呼ばれるコンピュータ・ネットワークに管理され、それに従うことが義務づけられている。そして人間も、すべての意志決定を「マザー」に委ねることで心の平和を得、迷いのない、安全確実な人生を享受していた。 が、一方で、人工授精を管理するラボラトリーでは、かなりの高確率で「ミュウ」と呼ばれる突然変異種が誕生していた。 盲目や聴覚障害など、元々、肉体の不備をもって産まれた彼らは、15歳の時に強制的に行われる『成人検査』によって、念力や透視力、予知能力といった超人的な能力を持つようになり、いつしか「人類の敵」として人間社会から追われるようになった。 彼らの願いはただ一つ。地球(テラ)に帰還し、人類と共存することだ。